2025年9月11日(木) 13:10〜 
東京地裁709法廷

2021年、これまでの個別雇用契約から、賃金規程・就業規程を新設し一律に適用する仕組みへ移行する制度変更が行われました。

会社は「不利益はない・違法性はない」と説明しつつキャビンクルーに同意を求めました。しかし、弁護士からは「自由意思による同意取得が必要であり、有形無形の圧力は禁止」との意見書が提出されていたにもかかわらず、会社はこれを顧みませんでした。

その過程で、

  • 客室サービス本部が不同意者の氏名を公開
  • 客室サービス本部長が繰り返し面談を行い、同意を求める
  • 圧力により、内容に納得できなくても評価や雇用への不安から同意せざるを得なかったクルーが多数存在

といった事実があり、最終的には不同意のキャビンクルーに対しても強行適用されました。

新制度の骨子は、

  • 時給を廃止し固定給へ移行
  • 乗務手当偏重の仕組みに変更

というものであり、固定給を抑えつつ、乗務時間に依存する賃金体系へ転換されました。

その結果、労働条件の切り下げ、ワークライフバランスの悪化、過重労働や疲労の深刻化が生じています。

JCAはこの不利益変更の合理性を争点として、2022年1月に本件訴訟を提起しました。

また、提訴直後にJCA執行委員長と執行部の2名に懲戒処分が科されましたが、裁判所は執行委員長について「懲戒理由すら存在しない」と判断し、会社は控訴せず判決は確定しました。さらに千葉県労働委員会も、この懲戒を組合潰しの不当労働行為であると認定しました。

本件賃金裁判の判決では、会社が主張する新契約の適法性・合理性が司法によりどう判断されるかが明らかになります。

休憩裁判に続き、この賃金裁判の判決は、客室乗務員の労働条件と人権を守るうえで大きな節目となります。

JCAとしては、引き続き法的に正当な労働条件の確立を目指し、活動を進めてまいります。