日本乗員組合連絡会議(日乗連)のHUPER委員会が発行したニュースで、客室乗務員の疲労リスクに関する重要な課題が取り上げられました。客室乗務員の長時間労働や、機内という特殊な環境での勤務、便と便の合間に機内清掃を行うことで十分な休憩が取れない現状などが指摘されています。特に、緊急時には保安要員としての役割を担う客室乗務員にとって、疲労の蓄積は見過ごせない問題です。
客室乗務員の疲労リスク管理について(ALPA JAPAN/日乗連 2024年11月28日)
また、今回のニュースでは、日本と海外の客室乗務員の労働条件の違いにも触れられています。欧米では、国家ライセンス制度の導入や、パイロットと同じ基準での疲労管理が進められている一方で、日本ではまだ十分な制度が整っていません。宿泊を伴う勤務の際、パイロットと客室乗務員のホテルのランクに明らかな差があるといった待遇の違いも指摘されています。企業側が「保安要員」としての責務を求める一方で、疲労管理や待遇改善には十分な対応が取られていない現状は、多くの客室乗務員にとって大きな課題となっています。
今月より、航空局は客室乗務員の基準策定に向け、疲労リスク管理に関する実態調査を航空各社に依頼し、乗務前後の疲労度を測定器を使用して調査するとのことです。しかしながら、過酷な勤務実態に加え、以下のような負担が重なっているジェットスタージャパンの客室乗務員は、この実態調査の対象外であることが判明しました。
- 通勤費の実費支給やタクシー配車がなく、公休日に自費で前泊・後泊をせざるを得ない
- クルーミールの支給なし(国際線のみ支給)
- 便間の機内清掃は客室乗務員が対応(最終便のみ外部委託)
- 会社にロッカー施設がないため、毎フライトごとにキャリーケースや業務に必要な制服・備品を持参
同じ航空業界の中でも負担の大きい勤務環境にありながら、こうした実態が調査対象とならないことは非常に残念です。疲労リスク管理の改善を進めるためには、こうした現場の実情を正しく把握することが不可欠と考えております。
客室乗員の疲労や労働の問題を明確に伝え、社会に発信してくださった日乗連のHUPER委員会に感謝いたします。2025年には、客室乗務員の疲労リスク管理についての検討会が設置される予定ですが、現場の声がしっかり反映されることを期待したいと思います。
JCAとしても、客室乗務員の安全と働きやすい環境を守るため、引き続き東京地裁での裁判を含め、客室乗務員の働き方改革に取り組んでまいりますので、ご支援の程よろしくお願いいたします。