近年、エバー航空の客室乗務員が体調不良で倒れ命を落とした事案について、台湾では国の調査が行われると報道されました。

一方、日本でも過去に国内エアラインの客室乗務員が勤務中に体調不良を訴え、その後命を落とした事例が報告されています。

しかし、航空機という特殊な労働環境における疲労や体調悪化が十分に考慮されず、労災が認められないケースも少なくありません。

高高度・低気圧・乾燥・不規則勤務・休憩の欠如といった航空特有の条件のなかでの疲労管理体制や労災基準の整備は、国が主体的に取り組むべき課題です。

企業任せにせず、働く人の命を守るための国家基準を整えることが求められています。

その意味で、航空局が客室乗務員の勤務や休息の基準づくりに着手したことは、一歩前進といえます。

同時に、海外では、客室乗務員は保安要員(Safety Professional)として、国家によるライセンス制度のもとで職務を遂行しています。航空の安全を守る専門職としての国家資格が、職業上の尊厳と社会的信頼を支えています。

一方、日本では、いまだに客室乗務員が「給仕やサービス要員」として扱われ、
その結果、過重な勤務や疲労、声を上げにくい職場環境が常態化し、安全や健康に影響を及ぼしています。

日本でも、客室乗務員を保安要員として法的に位置づける制度改革が不可欠です。

責任に見合った労働条件や職場環境、そして公正で尊厳を守る職場文化を築くことがこれからの時代に求められています。

私たちは、次の世代が安心して働ける航空業界をめざし、制度と意識の両面での変革を呼びかけます。

その一歩として、10月30日に控える「休憩裁判(控訴審)」では、一審で示された「休憩とは労働から解放される時間である」という原則、そして客室乗務員に人として当たり前の権利と尊厳を認めた判断が、確実に引き継がれることを心から願っています。

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