2025年4月22日、東京地方裁判所にてJCAが提起した「休憩裁判」(原告35名)について、JCA側の主張が認められ、勝訴判決が言い渡されました。

本判決は、客室乗務員の休憩の法的性質について、日本で初めて司法が判断を示した重要な判例です。

【判決主文】

  1. 被告は、原告ら各自に対し、各11万円及びこれに対する令和4年8月10日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
  2. 被告は、原告ら(別紙「原告目録」の「原告番号」欄記載5、12及び33の各原告を除く。)に対し、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を付与しない勤務(ただし、労働基準法施行規則32条2項所定の時間の合計が上記休憩時間に相当する場合を除く。)を命じてはならない。
  3. 原告らのその余の請求を棄却する。
  4. 訴訟費用は、これを5分し、その4を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
  5. この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

【判決のポイント】

■ 乗務中の休憩は「休憩」に該当せず

「客室乗務員は、機長の指揮監督下で客室の安全確保に関する業務を行う責務があり、クルーレスト中であっても急病人の対応やインターホンへの応答を行っていた」

「クルーレストの付与は機長に共有されず、業務命令や監督の密度に実質的変化があるとはいい難い」
→ 乗務中に与えられたレストは、法定の休憩時間には該当しないと明確に認定されました。

■ 損害賠償の認定(精神的苦痛に対する慰謝料)

「被告の安全配慮義務違反により、原告らは精神的苦痛を被ったものと認められ、各原告につき10万円の慰謝料が相当である」

■ 人格権に基づく差止命令の認容

「労基法34条違反の勤務命令は、労働者の人格権を違法に侵害する行為であり、将来に向けてこれを差し止める法的根拠がある」

【裁判の経緯と意義】

判決に先立ち、裁判所から被告会社に対しては、以下のような現実的かつ建設的な和解案が提示されていました。

・1日4レグ以上の連勤制限

・機内清掃の外部委託による折返し時間の休憩確保

しかし、会社はこれらを一切受け入れず、ゼロ回答としたため、裁判所はやむなく判決に至りました。

【ご報告と御礼】

このたびの判決にあたり、長期にわたる審理を誠実かつ丁寧に尽くしてくださった東京地方裁判所 民事第11部の高瀬保守 裁判長、郡司裁判官、宮村裁判官、そして書記官の皆さまに、心より深く御礼申し上げます。

また、原告として勇気を持って声を上げてくださった皆さま、JCAメンバーの継続的な支え、安全会議・日乗連・航空連をはじめとする関係団体の皆さまの連帯とご支援、さらに皆さまからのご寄付や、クラウドファンディングの協力により、この判決を迎えることができました。

改めて心より感謝申し上げます。

JCAは、今回の判決を大切な一歩として、引き続き控訴審への対応に加え、制度改革の提言、疲労リスク管理体制の整備や国際基準に沿った客室乗務員ライセンス制度の導入に向けて、粘り強く取り組んでまいります。

今後とも、皆さまのご理解とご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。